【OIC】核兵器はなぜなくならない?

8月12日に、OICワークショップ8月第1回を実施しました!
毎年8月のOICワークショップでは、戦争に関連するテーマを扱っています。
その際、毎回大事にしていることは、
単に歴史を学んだり、
「戦争は怖いね」
「戦争は良くないね」
といった感想を述べて終わりにするのではなく、
過去の歴史に触れた後は現代社会に視点を戻し、現代社会が抱える課題や私たちを取り巻く情勢について考えることです。
いつの時代もそうであるように、現実に起きている問題には、
「これが正解」
「こうすれば絶対に大丈夫」
と言い切れるものはありません。
だからこそこのワークが、社会の当事者の一員として、主体的に考えるきっかけになればと思います。

核兵器はなくすべきか?
まずは1つ、問いかけです。

今回の問いかけでは、一人だけがCを選び、あとは全員がBを選びました。
もちろん、ここにも「これが正解」という答えがあるわけではありません。
アメリカが原爆を投下した理由

参加者の回答

日本を早く降伏させ、戦争を早く終わらせ、アメリカ兵の犠牲を最小限にとどめるため

開発された背景
↓
元々ナチスが開発を進めていた中で、アメリカに亡命していたアインシュタインが、ドイツに先んじて研究を進めるようアメリカ側に警告・進言した。

アメリカの技術をソ連に見せつけ、戦後の外交を優位に進めるため

真珠湾攻撃の屈辱に対する報復

今回のリサーチテーマとは違いますが、ここで参加者に一つ問いかけをしました。
原爆が使用された理由を見て、
「早く終わらせるためだったから、仕方ない」
と納得できるかどうか、という問いです。
広島・長崎への原爆投下によって、1945年末までに合わせて約20万人が亡くなったとされています。
一方で、
もし日本が8月の時点で降伏していなければ、日本本土への上陸作戦が計画されていました。
降伏していなければ、本州で本土決戦になっていたかもしれません。
感情的には受け入れがたい一方で、考えさせられる問題です。
また、
原爆投下以降の核兵器を取り巻く世界の動きや情勢について、背景知識としてインプットしていきました。
このあたりは歴史や公民でも習う内容です。


核兵器を保有する理由
いよいよ本題です。
ここまでの話を踏まえたうえで、
現在どの国が核兵器を保有しているのか
そしてそれらの国はなぜ核兵器を保有するのか
を調べてもらいました。

参加者の回答

アメリカ
核抑止力のため。
ロシアや中国が核を保有しているため。

ロシア
核抑止力
圧倒的な武力を見せつけるため

中国
アジア初の核兵器保有国となることで、国際社会における政治的・軍事的発言力を高めようとしたため。
アメリカに対する確実な報復能力保持のため。
この3か国だけを見ても、日本を取り巻く状況について考えさせられます。
日本は、核兵器を保有する大国に囲まれているわけです。

イギリス
ロシアと中国に対抗するため
NATOの防衛力を担当するため

フランス
ヨーロッパ防衛のため。
フランス独自の技術で核兵器を保有。
→大国に左右されず、対等に渡り合える力として。
フランスはEU加盟国の中では唯一の核保有国として、自分たちが核抑止力を持つことは大事だと考えています。

インド
中国に対抗するため。
中国が核を保有したことをうけて自分たちも保有。
核拡散防止条約では5か国が「核兵器国」として扱われていることへの不信感などから開発。
対立するパキスタンに対抗するため、自分たちの方が強い力を持っていることを示すため。

パキスタン
対立するインドが核実験を行ったことをうけて、核実験を開始。
核拡散防止条約に加盟していないため、独自に核開発。
パキスタンは中国と国境を接しており、核開発を自国の安全保障に必要なものと位置づけてきました。
また、過去にはパキスタンの核関連技術が他国に拡散した問題もあり、核不拡散を考えるうえで重要な問題の一つとなっています。

北朝鮮
アメリカへの抑止力として保有。
北朝鮮は事実上の核保有国とされており、核兵器を米国などに対する抑止力として位置づけています。また、核兵器を運搬するための弾道ミサイルなどの開発も進めています。

イスラエル
周辺国などに対する抑止力として保有していると考えられている。
核兵器の保有を肯定も否定もせず、明言しないことで国際的な非難を避けている。
イスラエルは周辺国との長い対立の歴史があり、核兵器についても、自国の安全保障や抑止力との関係から考える必要があります。
核兵器はなくせるか?
最後に、こちらの問いかけについて考えてもらいました。

今回、
Aの「核兵器を完全に廃絶する」
を選んだ人はいませんでした。
皆、現実的には難しいと考えたようですね。
参加者の意見

アメリカとロシアが協力することができれば実現するかもしれない。

なくした方が良いけど、完全になくすと(抑止力が働かず)むしろ争いが増えてしまうと思った。

なくした方が良いけど、核兵器をなくしたら他の酷い兵器が開発されてしまうかもしれない。
現状は理性が働いており、戦争で実戦使用された核兵器は、広島・長崎の2例しかないから、そのまま現状維持することはできるかもしれない。
核兵器をなくしたいと思っても、なかなか実現されない。各国が核兵器を手放すことができない理由があります。
これは、いわゆる「囚人のジレンマ」に似た状況ともいえます。
皆で一斉に手放したいけれども、どこかの国がこっそり持ち続けるのではないか?
互いを信用しきれない状況に陥ってしまい、核廃絶はいまだ実現されていません。

またこの先も本当に核抑止力は機能するのか?
ということも考えていかなければなりません。
言い換えれば、
核を持っていて、この先本当に使われることはないのか?
ということです。

最後に、今回は終わり際に問いかける形になりましたが、最も重要なのは
「では、日本はどうしていくべきか?」
ということです。
決まった正解があるわけではない難しい問題ではありますが、
自分たちが暮らす社会の一員として、これからはこれらの問題について考えていかねばなりません。
もし核兵器が使われたら
最後に、「PLAN A」という、プリンストン大学が作成したシミュレーションについて紹介しました。
これは、NATOとロシアの間に戦争が起きた場合、そこから核兵器が一発使用されることで、報復の連鎖が始まり、核戦争へとエスカレートしていく可能性を描いたシミュレーションです。
シミュレーションでは、最初の核兵器の使用をきっかけに核攻撃が次々と拡大し、最終的には大規模な核戦争へと発展していきます。
その結果、最初の数時間のうちに9,000万人を超える死者・負傷者が生じると推計されています。
このシミュレーションは2017年ごろに作成され、2019年に公開されたもので、2022年のロシアによるウクライナ侵攻より前に作られています。
現在、実際に核兵器を保有する国が戦争の当事国となっています。
核兵器の問題を「遠い国の問題」として捉えるのではなく、私たちも国際社会の一員として、この問題について考えていく必要があります。
参加者の感想 ※一部抜粋

核兵器は、危ないけど持っていた方がいい気もした。

核保有国を調べ、パキスタンが保有していることを初めて知った。インドの核兵器に対する抑止力として保有しているらしく、やはりどこかの国が保有している限り、核兵器廃絶は難しいなと感じた。80年以上核兵器が使われていないからといって今後もその状態が持続するのかは分からないなと思った。

ロシアの一発の爆弾で、大量の人が亡くなってしまうことにとても驚いたので、やはり核をなくすべきだと思った。

最近、日本でも核を持つべきだという声があるけど、原爆が最初に落とされた国として持ってはいけないと思った。世界に向けて毎年発信してる以上、矛盾も生まれてしまうし、持ってはいけないというプライドがあると思った。

アメリカが日本に原爆を使った理由や、現在核兵器を保有している国の理由を知り、将来、核はどうなるべきかを考えることができた。核兵器はなくなったほうがよいと思うけれど、核兵器がなくなることよりも人的被害の大きい兵器がこれ以上開発されないことが大切だと思うから、現状維持も仕方のないことだと思った。

核を持つ国はそれぞれに核を持つ理由があって、簡単に手放すことができないため、核を全てなくすことは難しいことだとわかった。

ただ平和を願うだけではなかなか実現できないことが分かった。また、大国、力のある国が優位に立てるということは変わらないので、核を手放す難しさも知った。各国の事情が絡み合って複雑だが、軍縮が進んでいた時期もあったのだから少しずつでも世界が変わっていけたらいいと思う。

核兵器を所有している国は、その国その国の背景や歴史があって、核兵器をなくそうとしても信頼がなければ手放すことが難しいことも、もどかしいなと思った。
やはり何回考えても戦争や核兵器の問題は考えれば考えるほど難しい問題だと改めて思った。でも、一番考えていかなければならないと思うのでこれからも自分なりに調べて考えていきたい。

核兵器の問題がどれだけ難しいのかが今日考えてよく分かりました。

答えのない問題で、様々な考え方があり、どれが平和につながるかは誰も分からないので難しいなと感じた。

学校でも核兵器について考える時間があったけれど、今日は他の人の意見にもよく触れて主体的に調べられたから良かった。


