進路の選択肢としての通信制高校

こんにちは。
11月というのに
今年は驚くような暑い日が続いていましたね。

今日あたりは少し涼しくなったかなという印象です。

11月はいわゆる進路選択、
受験においては大詰めを感じさせる時期です。
たとえば高校受験の生徒にとっては、
内申に影響を与える
最後の定期テストの月でもあります。
第一志望や併願校(第二志望)については、
もう最終決定の時期ではないかと思います。

今日は、少し独自の視点も交えて、
高校への進路選択の一つとして考える
通信制高校
について書いてみようと思います。

結論としては、
通信制高校という進路選択はアリ
ではないかという話なのですが、
少し幅広く、
いい面と心配な面も含めて述べたいと思います。

一見すると当たり前な意見を
述べるようにも感じられると思いますが、

個人的に強く思うことがあるので、
最後のほうにそれを述べたいと思います。

【補足】
今回の記事は、
通信制高校って何か?
どうやって学ぶのか、卒業するのか?
公立私立の違いや広域や狭域の定義は?
などの解説記事ではありません。

概ね、現在の通信制の主流を占める、
広域通信制で私立の学校を
イメージして書いております。

上記のご質問は、
いつでも細かくご回答いたしますので、
LINEなどからお気軽にお問合せください。

昨今の通信制高校

さて、皆さんは、
「通信制高校」
と聞くとどのような印象を抱くでしょうか?

校舎に通うのではなく
「通信」で学ぶところだから、、、

「働きながら通うところ」
「学校に行けない人(不登校など)がいくところ」
などでしょうか?

実態は、
どちらもあるだろうけど
最近は少し変わりつつある
ということになると思います。

昨今では
「通える通信制高校」
が主流になっていて、

昼間学校に通うことができない事情があるとか、
家からなかなか出ることができないからとか、
そういう事情だけでなく
「ごく当たり前に通う形」
で通信制高校に在籍している生徒も増えています。

代表的なところでは、N高校があると思います。
ネットの学校と理解されがちですが、
校舎では様々な授業や行事を実施していて、
生徒は自分に合った形で校舎に通うことができます。

通信制高校の老舗といえる、
クラーク記念国際高等学校もそうです。

全国の校舎に通うことができます。

個人的に学びの機会をいただき
ご縁のあった星槎国際高等学校も、

週に1回、3回、5回と通う回数を選ぶことができ、
校舎では勉強から様々な選択授業まで、
自由に選んで受講することができます。

その他、
多くの通信制高校が全国に自前の校舎、
またはサポート校を併設して、
毎日だって通ってこれるように
カリキュラムをつくって
生徒の受け入れをしています。

そういう仕組みがかなり巷に浸透したこともあり、
一般的な進路の一つとして
通信制高校を選択する生徒が増えたと思います。

個別指導学習塾の教室長、マネージャーを
していた数年前から、
N高校の広がりを一つのきっかけにして、
都内の高校受験の受験後の結果分析においても、
それ以前の数年前に比べて格段に
通信制高校への進学数が増えていました。

いまもその傾向は変わらないか、
ますます増えているのではないかと思います。

通信制高校に通うメリット

いまの通信制高校を選択するメリットは、
大きく次の点かなと思います。

それは、その
「カリキュラムや仕組みの柔軟性」
だと思います。

全日制(普通科)の学校と違い
出席の規定が厳しくないため、
仮に中学時代に不登校や高校の前籍校で
出席が足りなくても
自分のペースで学びやすい。

選択で授業を決めていけるので、
必修科目を取りながらも
学び直しや得意に特化して勉強しやすい。

だから、
スポーツや芸能に特化したプログラムを増やして、
高校卒業のために必要な科目だけを
勉強科目として押さえていくということも
可能になります。

そういった個性や個人の特性を
「活かす」
「尊重する」
学びがアレンジできることから、
通信制高校には注目が集まっている
と言えると思います。

最近お仕事で関わることのある
通信制高校の生徒さんの中には、
本当に天才的にある能力が高い子や
目標意識の高い子もいて、話していて
こちらが刺激を受けることも多くあります。

通信制高校を選択して
自分らしい学びと
自分らしい成長ができる場は
必ずあると思います。

また進学や受験に対しても
かなりしっかり充実した取り組みを
しているところも多いので、

総合して個人的に思うことは
通信制高校への進学
という選択肢は肯定的に捉えています。

心配な面

以上、
通信制高校の現在の主流になっている
概要というかイメージについて述べました。

次に、ちょっと心配なこと、です。

通信制高校の存在意義の一つは、
やはりひと昔前と変わらず、
「不登校や中退(留年するから転校)」
する生徒の受け皿
という面です。

上述のような特異(得意)な能力に特化して、
というのはスポーツや芸能という分野だけでなく、

既存の学校になじみにくいとか合わない
という生徒の「個性」も含んで
考えないといけないと思います。

実際は、通信制高校の在籍生の大多数は、
中学不登校や
高校での不登校や留年(確定で転校)
を経験した子たちです。

これはどの通信制高校も実態はそうだと思います。
ぼく個人はこの事実に悲観ばかりではないのですが、
ここではその理由については
長くなるのでまた別の機会に述べます。

実態として文部科学省の統計では
不登校の数は少子化の昨今でも
減っている様子はありません。

それだけ既存の学校になじみにくい
生徒が増えているのだと思います。

こういった生徒たちが
安心して学べる選択肢の一つが
通信制高校だと思います。

それゆえに
通信制高校に求められる役割と責任は
大きなものがあるはずです。

それは、

高校卒業資格が
「無理せず(言ってみれば楽に)」
取れる
ということ「ではない」

と思います。ともすれば、
芸能やスポーツに特化するから
高卒のための勉強は楽に終わらせたい、

となりがちです。

もちろんそれを求めて、
結果才能を花開かせてその世界で活躍する
ということはあっていいと思います。

一方で、
不登校していても、
既存の学校になじめなくても、

「安心してください、高卒はちゃんと(楽に)取れますよ」
という考えは大きな危険があると思っています。

ぼくは、不登校に対して「大の肯定派」です。
その理由は、詳しくはまたの機会にしますが、
既存の学校という「水が合わない」だけであって、
その子たちが感じて思っていることは
何もおかしなことはない、
と言い切れるからです。

言ってみれば、
淡水の魚か塩水の魚かの違いであって、

たまたま大多数が塩水だからといって
淡水の魚はいてはいけないという意味ではないと、
そんなふうにたとえられるのではないかと思います。

しかしながら、
不登校する子の体質は、
「真摯に悩んだり誠実にまじめに考えたり」
「周りのことをとても気遣ったり」
してしまう、
少しばかり時間とエネルギーのかかる子が多いです。

いわば、
世渡りは上手ではありません。

それでもいずれ、
そんな子たちも
「社会に出て生きていく」
という自立のときがやってきますし、
そうならなければいけません。

そんなときに必要なのは、
「自分の感覚をおさえて我慢して生きること」
ではなくて、

「自分の感覚(体質)的な特徴をよく知って自分らしく生きる方法を見出すこと」
です。

だから、実のところ、
高卒資格は取れました!
では、何の道の切り拓きにもなっておらず、
本当は自分を良く知り、
社会を良く知り、

技術と能力を自分なりに磨いて、
自分なりの生き方を模索すること、
こそが一番大事なことだと思います。

華やかで楽しい(し楽チンだ)から
通信制高校を選ぶというより、

この、地味で根の深い取り組みを考えて
学校を選ぶという
「流行り」であってほしいなと思います。

少し長くなりましたが、
今日はここまでとします。

通信制高校は貴重な学びの場です。
多様性の社会において重要な存在だと思います。

だからこそ、
大人にとってのビジネスや
生徒にとっての楽だからに飲まれない、
根の深い教育活動のできる、
そして出口のサポートや
生徒の将来に強くコミットする教育的価値
のある学校こそ求められているよな、
と思っています。
(大庭)