第175回「本能とは何か」
テーマは「本能とは何か」です!
今回の問い
ドラえもん(人間らしいロボット)にはどういった本能(本能的行動をとる仕組み)があるか?あるいはあればよさそうか?
今回のテーマについて
ファシリテーターの木原です。
今回は「本能」に関する探究ということで、その仕組みや、我々の言動や感情・思考はどこまでが本能なのかということを考える回を実施してみました。
今回、インプットセッション作成にあたって色々と調べる中で、アカデミックな界隈(心理学や生物学など)では「本能」という言葉は広く曖昧なため意外と使われていないことが分かりました。
(「本能」をより根源的な要素に分解して考えていくようです)
そうなってくると、元々想定していた
「人の言動や感情・思考はどこまで本能か?」
という問いがあまりふさわしくないことになってしまうため、その後さらに問いを考えていきました。
実は今回の問いかけ、自分自身について考えるか、ロボットを題材について考えるか、結構悩みました。ですが、「我々人間を普段支配するもの(本能)」を考えるというコンセプトが元々あったこと、また皆で共通認識できる題材がある方が客観的に考えやすいのとトークも盛り上がるかな?と思い、ロボットの方をチョイスした次第です。
改めて、人間(生物)って本当によくできているなぁと思わされます。
グループトーク
「人間らしさ」には色々あります。「本能(的なもの)」もその一つかもしれません。今回は「人間らしい」ロボットに備わっている(備わっていた方が良い)本能とは?ということで様々な意見を出していただきました。
- リミッターが存在する
(普段は限界ギリギリまで能力を使うことはしない) - できないこと(苦手・欠点)がある
など、「人間らしさ」という観点で「なるほどなぁ」「確かに我々にはそういう一面もあるよなぁ」と思わされる意見や気づきが沢山あったように思います。
また個人的に印象的だったのは、「人間らしさ」を追求すると、その反面人を助けるロボットとしての価値が下がるのでは?という視点に立ったいくつかの意見です。(残念ながら本記事に載せきれていないものもございます…m(_ _)m)例えば「承認欲求のあるロボットって、ちょっとうざくないか?(笑)」という意見。なるほど確かにと思います。一方で、介護や医療の現場で「なにもできない」「可愛い」ロボットが癒しになっているという話も興味深かったです。
将来的に「強いAI」が実用化されていく中で、彼らがどういう性質を持つべきかということは人間の本能や性質との比較が為される部分だと思います。大いに今回のテーマが絡んでくるところと言えそうですね。
参加者の意見・やりとり
インプット・セッション
より良く生きるための”行動”…みたいなものなのですね
食べたいがなかったら、餓死しちゃうかもですもんねえ
本能と知性(理性)どちらが主人か?話は面白いテーマですよね!
怖い、怒る、驚く…なんかも”本能的”ですもんね。
>でも虫にはそれすらもないので、これは”高度な本能”という話ですな…?
強化学習が”大脳基底核”というのが面白いですよね
(小動物は脳幹しかないので学びにくいわけですな。。?
怖いとき青くて震えるのは、血圧を下げて筋肉を引き締める(危ないことに対して備える)という説も…
なるほど!扁桃体の有無は納得感ありますね!
(扁桃体ないと””嬉しい”とか幸せとかを感じにくいので、またやろうとはならない)
嫌な行動や文句が世界的にある、というのは”そこに意味がある”という話ですね。。。
ロボット三原則(人への奉仕が喜び、とデザイン)かあ・・・
グループトーク
人間らしいロボットには、どういう本能があるといいか?
ロボットと人間の関係性がどの程度のものか?
あくまで人間の保護機能という役割という観点でロボットと定義。
どういった本能があるか?
・人が喜ぶこと、うれしいことを行う、奉仕する
・人の悩みや問題を解決する
といった本能があればよさそうか?
表情から人の心情を読み解き、その状況に応じた行動を行う⇒それにより人は承認欲求を得られる
※行き過ぎると人間が依存してしまう可能性があるかも。。。
自己承認欲求のあるロボット⇒ちょとうざい?ww
ヒトを見分ける本能?
中国語の部屋的な…!
できすぎた性格、完璧な回答⇒人がそれで満足するとは限らない?
チェスに負けてくれるAI
* 共感
* 慈愛、友情
* 守る
* →怒り
* Detroit: Become a human
* 自由、解放
* →戦い
* 死への恐怖
* 自己防衛
* 芸術性
* 協調性
* 社会の中で生きていくために、出る杭は打たれる
Detroit: Become a human、めちゃよしー!
あの世界観だと、ロボットに”自由意志”が入っているという設定なのですよね
ソーシャルリアリティ(≒常識の差)ですな
それで考えると、ロボットの育ちなんかもあるかも?
世にも奇妙な物語でやってた
いじめられロボット
第六感
面白そう
より人間のしているコミュニケーションに近づきそうだなあ
でもコンピューターも人を見ているらしい
母性(仕事)本能
育児の苦労が減る
人間と感動を共有できる本能ロボット
前頭前野あたりの発達が望ましいかな
芸術を好きになれる本能
big blue watching you!
↑
ディストピアでAIが人間を監視する・・・
的なお話はSFにいっぱいありますな。。。
深淵を覗くとき、深淵もまたこちらを覗いている・・・?
ニーチェですね・・・!
情報統合思念体>>涼宮ハルヒ
あれは人間を超えている。。。!
※ラノベですねw
確かに理解は“それを自分にいれること”なので、深淵を理解することは深淵を取り入れること、ですもんね
>だから悪に堕ちて良い、という話にはなりませんが。。。
日本人にもネアンデルタール人のDNA含まれてますよ
へえ
人間が本能的な行動をするきっかけを与えてくれる
・先だって失敗をする
→人を笑わせる、危険予知、
・欠けていることを見せてくれる
→完璧ではないから愛情をだせたりリラックスをさせる
役に立たないロボットの代表格
lovot→何もできないが愛嬌だけあるロボット
https://lovot.life/
歯医者さんでみました!可愛いですよね
ちょっと暖かいのがいいですよね。。。!
(体温が疑似的にあるのです
ガンダムのハロとか、ドラゴンボールGTのギルとか、そういうキャラってずっと一定数需要アリかもですね
周りの人も自然と笑顔になってました
主人公になる条件⇒何か欠点(苦手)があることらしい
泳げない船長とかですねw
>ワンピース
ケンシロウは日常生活が苦手…w
えw
世紀末だしw
百裂耕しとかで農業できそうw
「混沌」の中国神話とか。。。?
完璧すぎるもの=それしかできないもの
頑張りすぎない
知らないものに近づかない
笑い泣き
嫌い好き
「しらんけど」を言える
お笑いってめちゃくちゃ高度な技術なんですね
お笑いの英才教育。。。!
知らんけどは予防線ですね(笑)
【人間らしいロボットとは】
人間らしいとは?:
外界刺激
+
A,動物らしい(衝動、情動、欲求、生と死…≒本能)
B,人間らしい(理性、利他、合理、博愛、類推、記録…≒意識)
なので、
1,自分のやったことを自分で評価する学習システム
(≒外部刺激処理だけじゃない意識)
2,それを感知・取得するセンサー(感覚も立派な本能)
3,それに関するインセンティブ(仲良く暮らしたい/どら焼きを食べる)
4,人間に有益な制限(道具なので/これは合理的に学べるかな…?)
↓
ありていにいえば…”愛”と”好奇心”(恥ずかしい…)
おまけ:
(普通の人類には)考えるのをやめることはできないので
考える事も本能。
おまけ2:
そもそも、理想の道具としての機械に
人間的な本能(泣いたり笑ったりミスしたり)が必要なのかなあ。。。
>よい所活かせばいいじゃない。
>親としてはアリかな…?
おまけ3:
機械は人間を滅ぼさないのでは?(楽しくないと思われ)
「同じ釜の飯を食った仲間」という言葉がある
⇒飯を食うというのは人間にとって重要な意味を持つ
初めてあった人ととりあえずご飯を食べるって人間的
⇒一緒に飯を食うというのは世界共通
どこに欠点を作るか?という研究は面白そう
ファシリテーターの意見
「人間っぽい」ロボットの本能とは?
1,人間っぽさをひたすら追求するなら
「死にたくない」本能
まずは「快」「不快」を感じる回路を作成
「快」を増幅させ、「不快」を減少させるにはどうすれば良いか、実際の活動の中で探究させる。
初めのうちは自ら死ににいってしまうなどめちゃくちゃな振る舞いもあるだろうが、大量の試行回数の中で次第に最適化されていく。
とあるシリーズに出てくる「御坂ネットワーク」みたいなイメージ?
言い換えると、人類の進化を疑似体験させることになるだろうが、彼らは我々をはるかに凌駕するスピードで進化していくのではなかろうか。
※一応、初めに「人間が好き」「人間を傷つけない」というプログラムを一番奥底に仕込んでおく必要があるかもしれない。けど仮にもし、人と仲良くすることで彼らの「不快」が増すというような矛盾が生じる場合、我々が滅ぼされるのは時間の問題となるだろうか…。
2,ちゃんと人間社会に溶け込ませるなら
「本能」を考えるうえで、必ずしも「強いAI」を想定する必要はないのかもしれない。例えば将棋AIに人間らしさを付け加えるなら「相手をリスペクトすること」が挙げられるかもしれない。これは人間の社会性に基づくところだから、将棋を通じて人と仲良くなることを考えるAIというのはどうだろう。他の分野・AIでも同様。
私自身は、まず自分で探究してみて、いかに自分が多くの本能(的なもの?)に支配されているかということに驚きました。いや、まあ考えてみれば当然なのですが、自分で考えたことだと思っても、その思考回路や言動一つ一ひとつが本能的なものに基づく行為だったりするからです。インプットセッションを準備する時に読んだ資料の中に「情動」を入り口として人の「欲求」を解明していくものがありました。また「本能」は「知性」の監視であり、「本能」を満たす方向性に「欲求」が設定されているという考え方、またその仕組みをつかさどる部分が脳内にあるという事実なども、とても勉強になりました。今後自分自身や他者を観察する際に、今回の探究で得た視点に立って考えるのも、面白そうです。
ご参加くださった皆様、ありがとうございました!
またやりましょう。
次回は
10月14日(金)19:30~21:00
第176回「都道府県の魅力」を予定しています。
引き続き、楽しくて学びになる探究を実施してまいりますので、お楽しみに!