【OIC】レアメタルと都市鉱山
こんにちは。木原です。
11月27日(日)に、
OICワークショップ11月第2回を実施しました!
今月のテーマは「テクノロジーと経済」
前回は「半導体不足」をテーマに考えていきましたが、第2回は「レアメタルと都市鉱山」についてのワークを実施。
身の回りのどようなところでレアメタルが使われているか
レアメタルの供給が不安定な現状にどう対処していくか
今回はそういったことを考えていきました。
OICプログラムとは?
※読み飛ばす場合はこちら
OICプログラムは、世界で起きていることや重要なテーマについて関心を持ち、自分で考え行動するきっかけになるとともに
- 批判的・論理的に思考する力
- 他者と議論する力
- 自分で情報収集し、判断する力
を鍛えることを目的とした、主に中高生(一部小学生も参加可)対象のワークショップです。
今は「VUCA時代」といわれる、社会が激しく変化し先が読めない時代です。
例えば
2011年にアメリカの小学校に入学した入学した子供たちの65%はその時存在しない職業に就くだろう
と予測されています。また
約3分の1の企業が外国人留学生を採用する
というデータもあり、
- 一生日本人とだけ仕事をする
- 日本人だから日本の企業に就職できる
という時代は終わったと言えるでしょう。
だからこそ、こういった先行き不透明な時代を生き抜くために必要な力を身につけなければなりません。本ワークショップでは、まずは世の中で起きていることを知り、深く考え、他者と意見交換をするといった経験を積んでもらいたいと考えています。
本ワークショップでは次のことを大事にしています。
OICワークショップに参加する時の心構え
発言は自由!(どんな意見も歓迎)
※答えは一つとは限らない
聞く姿勢も大事。人の意見に相槌を拍手を送ろう!
ここには、
- 様々な視点で柔軟に意見を出し合って学びあう
- 意見を言うことにチャレンジする
- 聞く姿勢を身に着ける
ことを実践してもらう狙いがあります。
今回のテーマについて
レアメタルとレアアース
「レアメタル」と「レアアース」
どちらも聞いたことあるな~
でも以外と違いは分からないかも、、
という方も多いのではないでしょうか?
整理してみると、以下の通り。
レアメタル
地殻中の存在量が少なかったり、採掘と精製のコストが高いなどの理由で流通・使用料が少ない非鉄金属。
リチウム、チタン、バナジウム、マンガン、ニッケル、・・・etc
レアアース
レアメタルのうち、スカンジウム、イットリウム、ランタンからルテチウムまでの17元素グループ。希土類元素とも呼ばれる。
例えばチタン。
地中埋蔵量は多いものの
高純度のチタンを精錬するのは困難で
コストがかかるため、“希少な”金属
参照・引用:NIMS 国立研究開発法人 物質・材料研究機構のHP
周期表は中学生の理科でも出てきますし、高校化学では例えば「希土類元素」などは登場しますが、こうして深堀りする機会は中々ありませんし、また実生活や社会問題と結びつけて考える機会もあまりありません。今回のワークは教科書で学んだ知識が実践的な学びにつながる良い機会だなと思います。
インプットセッション中には、レアアースを使って作るモーターがハイブリッドカーに使われる事例を見ました。レアアースであるネオジウム磁石を使うことで超強力モーターを作ることができ、それによって車を速く走らせることができるそう。レアアースがないと遅い車しか作れないのだとすれば、確かにレアアースは必要不可欠ですね。
海底資源と中国
そんなレアアースですが、その名の通り世界的に産出量が少なく、日本は約6割を中国からの輸入に依存しています。
一方で、実は日本の排他的経済水域の海底には大量のレアアースが眠っており、日本政府もその採掘に力を入れ始めています。一方でその資源を中国が虎視眈々と狙っているという構図も。中国にしてみれば、日本が自分たちに依存していればこそ優位に立てるのですから、そのパワーバランスを守ろうとするのは当然ですね。
こうした中国の動きは非常に活発で、世界中で海底資源をめぐる攻防が繰り広げられているそうです。
身近なレアアース
レアアースについて基本的なことを知ったうえで、まずは次の問いについて調べて発表していきました。
- スマホやPC、テレビの液晶など
- 光ファイバー
- 自動車、風力発電、モーター
- ランタン
- エアコンなどの家電
- CD、ブルーレイ
- 医療用レーザー、MRIなど
・・・等々、調べてみるといくらでも出てくるのですね~
他にもこんなマニアックなリサーチも。
- サマリウム ⇒ ブラウン管の赤色
(それはもう、なくなっても問題なさそう…(笑)) - エルビウム ⇒ ガラスの着色剤
至るところにレアメタル・レアアースが使われていることが分かります。
都市鉱山
続いて都市鉱山について。
レアアースは、実はだいぶ国内でリサイクルされているといいます。先に調べてみた通り、多くの場所で使われているので、上手に回収してリサイクルできればそれなりの量を確保できるそうです。
実はすでに、人間が使っている量の方が埋蔵量よりも多いとのこと。「都市鉱山」の考え方と取り組み、めっちゃ大事ですね。そしてもう半分以上使ってしまっているとは…知らなかったです。「不足」の問題について真剣に考えなければならない状況なのですね。
個人ワークと発表
最後は本題、「起きている問題にどう対処するか」です。次の問いについて皆で考え発表していきました。
今回も、小学生・中学生・高校生が参加してくれましたが、皆さんさすが、頭が柔らかいです。大人でも「なるほど、それはいい視点だな~」と思わされる意見が色々出てきました。
無駄使いをしない
レアメタルを作る方法を見つける
錬金術…、いい視点だね
そもそも一昔前まで海底の資源を掘り出して使うなんてことはできなかったわけだし、科学技術は常に進歩していくからね。いつかできるかもしれない。
まずは排他的経済水域のレアメタルがなくなるまで取り続け、足りなくなったら中国から買う。
レアアースを使わない技術を考える
エアコンで有名な会社って、分かるかな?
・・・そう、ダイキン
ダイキンはレアアースを使わないエアコンを開発しているんですよ。
レアアースを買いあさり、備蓄しておく
中国の弱みを握って、何年かは日本に回してもらう
リサイクルことが大事なのでリサイクルしやすい状況を作るのが大事。
日本の製品は無駄な機能が多いので、必要最低限の機能の製品を開発していく。
都市鉱山の徹底
海底資源の死守
宇宙開発
国際競争で勝てそうな製品の生産に全力を注ぐ
(つまり、レアメタルの投資先を限定する)
⇒何がなくても不満なく生活できるか、複数の自治体で社会実験したら、無駄な生産を色々減らすきっかけになるかも。
レアアースに代替できる商品を開発する
まとめ
最後に、(ファシリテーターが)個人的に考えることは
「なぜ協力して開発できないのだろう?」
ということ。公開の資源は多国籍で協力して採れたばいいのかもしれませんね。
今回のようなテーマについて考えて分かることは、身の回りの物を安定供給するのは簡単ではないということ。世の中は見えている以上にずっと複雑に回っているのです。
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