第39回 探究「暇」

第39回 探究型学習コース実施!

【アイスブレイク】
今回は、「暇(と退屈)」というテーマにちなんで、「五億年ボタン」押す押さない会議をやってみました。
「押す派」と「押さない派」に分かれて10分間、お互いの主張をもとに議論を行いました。

「五億年分の記憶は消えるので、喜びしか残らない。なので押す」
「リセットされるのであればノーダメージ」
「押してみるまで本当かどうかわからない」
「2ヶ月で自我崩壊しそう」
「単純に怖い」
「自分のこれまでの人生は色々な人と関わって幸せだったので、五億年も孤独はムリ」
「100万円は恐怖に見合わない」
「いくらなら押しますか?」
「押したら味をしめて無限ループしちゃいそうで怖い」
「何度も押すということは、押してもいいと思っているのでは?」

今回はかなりの哲学会なので、頭を慣らすためのウォーミングアップも兼ねています。
と、いうわけで本編!

【探究】
今回のテーマは「暇」ということで、

・我々現代人は「暇」なのだろうか
・また我々にとって生きるとは「退屈」なことなのだろうか

という問いかけについて探究。
國分功一郎氏の著書「暇と退屈の倫理学」からも多くの内容を引用しつつ、我々現代人にとっての「生きること」について皆で考えたり話し合ったりしていきました。

〜インプット〜

「暇だなぁ」ってどんな時に思う?


「暇」とはすることがない時間・状態のことを言う


パスカル「人間の不幸などというものは、どれも人間が部屋でじっとしていられないがために起こる」

ニーチェ「退屈した人間は何としても何かに苦しみたい欲望を持つ」


「退屈」の反対語って何だろう?

ラッセル「退屈とは、事件が起こることを望む気持ちがくじかれたものである」
※「事件」とは今日を昨日と区別してくれるもの
「退屈」の反対は「楽しさ」…ではなく「興奮」


つまり、、
「暇」→その人の状態
「退屈」→その人が感じること(苦痛)


モリス「これまで人類は痛ましい労働に耐えてきた。ならばそれが変わろうとするとき、日々の労働以外の何に向かうのか」

ヴェブレン「大衆社会の到来により、暇を生きる術を知らない労働者に余暇の権利が与えられた」

ガルブレイス「自分が欲しいものが何であるかを広告屋に教えてもらうというこのような事態は、19世紀の初めなら思いもよらぬことであったに違いない違いない」

→「豊かな社会」すなわち余裕のある社会においては、たしかにその余裕は余裕を獲得した人々の「好きなこと」に使われている。しかしその「好きなこと」は願いつつも叶わなかったことではない。


「暇」と「退屈」は必ずしも同時に起こるものではない
→暇していて退屈、暇しているけど退屈ではない…
「暇がないけど退屈」ってどんな状態?


一説には、かつて長い間遊動生活を行なっていた人類が定住するようになり、発達した情報処理力・課題解決力といった能力を発揮する機会を失い、それが退屈を感じるようになった起源とのこと。
→ハイデガー曰く「ある種の深い退屈が現存在(人間)の深淵において物言わぬ霧のように去来している」と。


退屈には三つの種類がある。
①何かによって退屈させられる
②何かに際して退屈する
③なんとなく退屈だ、、と感じる


三つ目がもっとも根源的な退屈であり、そこから逃れることはできないという。故に人はその声から耳を背けようと何か(仕事)に熱中したり、気晴らしをしたりするようになるが、その中でも1つ目、二つ目の退屈を感じるこもある。


またユクスキュルの環世界論をもとに考えることもできる。
・人間は他の動物に比べて相当に高い「環世界間移動能力」を持っている
・動物は人間に比べて相当に高い「一つの環世界に浸る能力」を持っている
人間はこの「自由」故に、一つの環世界に浸っていることはできず、退屈を感じる

〜探究〜
僕らは暇かどうか


生きている=やることがある=暇ではない
一方で安定した生活=生きるうえでの最低限+αなので、暇と言えるのでは?


技術革新によって、例えば東京から大阪まで2時間で移動できるようになった。それによって今まで移動に費やしていた時間を短縮できる分暇になりそうだが、その分スケジュールがタイトになっているのが現代のビジネスマンなので、それが本当に暇を生み出したかどうかは議論の余地あり


未来から見たら僕らは忙しい。過去から見たら僕らは暇

僕らは退屈かどうか


もし学校も仕事も無かったら、退屈になりそう?
→それでも何か目標やto doを持つのではないだろうか
→仕事せず、投資で稼ぎながらボランティアして暮らしている人もいる

○古代エジプトの奴隷はどうだったのだろう
→彼らは退屈感じる余裕はなかった


私は暇なのか、それを考えてたら退屈じゃなくなるんじゃないかなぁ( )

参加してくださった皆様、ありがとうございました。
また、やりましょう!

次回は 11/7(木)「暗号」をテーマに皆で探究していきます!
次回もまた、面白くて学びになる探究の場を提供してまいりますので、お楽しみにッ!

探究

次の記事

第40回 探究「暗号」