第178回「ユーモアとは何か」
今回のテーマは「ユーモア」でした。
今回の問い
「ユーモアがある」と言われる人はなぜ面白いのだろう?またその人の何が他者を笑顔にするのだろうか?
今回のテーマについて
ファシリテーターの木原です。
今回のテーマは、きっかけとしては結構パッと思いついたものでした…。(笑)ですがちゃんと調べて学んでみると、ユーモアについては古代ギリシャの時代から古今東西多くの人が探究しており、まさに決まった正解のない、深いテーマだということが分かります。
今回、単なる「笑い」ではなく「ユーモア」にフォーカスしていることが結構ポイントでした。「笑い」は「情動による身体反応の1つ」であり、必ずしも「ユーモア」によって引き起こされるものとは限らないからです。このテーマについて“なんとなく”考えていると、お笑いの面白さとユーモアをつい混同してしまいがちですが、深く考えてみると明確な違いがありそうでした。ユーモアの辞書的な意味は、簡単に言えば「上品なおかしみ」。インプットセッションにもこの意味を載せましたが、実はここに大きなポイントがあったことに、後々グループトークを通じて見えてきました。
グループトーク
今回は3人という少人数でのグループトークとなりましたが、互いにたくさんの意見を出し合い、あれこれ考察することができました。特に今回参加してくださったお二人は関西の方(滋賀県民と兵庫県民)で、今回のテーマに対する考察やトークも大変盛り上がりました。
3人で話していて、もちろん異なる視点の部分も出てきましたが、一方で見解が一致するところもたくさんあったように思います。例えばユーモアとは「良い無駄」「彩り」的なものなのかもしれないという視点。普通に話しても伝わるけど、そこにあえておかしみを含ませるのは相手に対するサービス精神なのではないか、という話が印象的でした。
参加者の意見・やりとり
【ユーモアのある人はなぜ面白いのか?】
はじめに
「ふとんがふっとんだ! …あれ?笑わない? もしかして、皆さん今日、お腹痛いとかです?」
(そんなわけあるかい!)
回答
a.冷静だから、
(マジ回答で頭がいっぱいならそもそも思いつきもしない。心の余裕が必要)
b.サービス精神旺盛(過剰)だから
(楽しい気持ちを相手に伝えたいと思うから)
c.何が違うかを分かっているから、
(人は非日常に可笑しみを感じる)
d.どこを照らせばいいか分かっているから
(可笑しみの中で、どこを切り取って届けるかを把握できている→できてないとスベる)
*「面白い」は本来、
目の前が明るくなった状態≒景色が開けたような美しさを指す言葉。
「面」(眼の前)を「白く」(照らす)する手法と場所が大事。
e.嘲笑に虚構(許可)を与えているから
「mr.ビーン」のような変な人を笑うのには”これはフィクションだ”という”許可”がいる(じゃないと、ただのイジメなので)
笑いを提供するものは”笑っていいよ”の許可も同時に提供している。
f.関西人だから(嘘
環境の影響(≒英才教育)はやはりすごいw
おまけ:
ユーモアが発達する理由(関西)
→逆に厳しい社会だから。
商いは厳しい「競争関係」のなかで行われるので、競争からくる緊張や対立は、笑いによって緩和する必要がある…
https://cir.nii.ac.jp/crid/1390001205947238272
- 「ユーモアがある」と言われる人はなぜ面白いのだろう?
- 予想外、斜め上の発想があるから
* 重りの例にもあった通り、人は自分の想像とギャップがあった時に笑うのでは
* どれだけ面白い「ネタ」でも2回目以降は面白くない。
(例:M-1ぐらんぷりの準決勝と決勝のネタが似ていたら面白くない、ミルクボーイは例外?)- 内容に加えて、話し方がうまい
- 出だし、話す順番、スピード、声のトーン、間の取り方、オチのつけ方など
- 割と真面目に言っている
- 既にその人自身が自分のユーモアに笑ってしまっていると面白くない
- つられ笑いもあるが、かなり限られそう
- 受け取り手を把握している
- ハマるユーモアは人それぞれ違う
- そもそも伝わるかどうか
- 内容に加えて、話し方がうまい
- 「ユーモアがある」人の条件
- 頭の回転が早い
- 会話の中では、相手の話を理解する→すぐさま反応
- 知識が多い
- 具体的な何かを引き合いに出してツッコミをするのが面白い
- =引き出しが多い
- 具体的な何かを引き合いに出してツッコミをするのが面白い
- 頭の回転が早い
芸人さンの面白さはユーモア?
三谷幸喜
表情が豊か
たとえ話が上手い
サービス精神(人に笑ってほしい)
上品なおかしみって何だろう?
※「上品な」って何?
「笑わせる」と「楽しませる」の違い
ユーモアって、
「本来は必要ないけどあえて表現する」
類のものだよね。例えば言葉でも、普通に言っても通じるけどあえて予想の斜め上を行く。
なんでそうするかと言えば、相手を楽しませたいから?
なくても困らないけど、あったら嬉しいもの
彩ですね
良い「無駄」
ユーモアがある人は「ユニーク」
インプットにもあったけど「バカ笑い」と「上品なおかしみ」は違う
ふとした疑問。
関西人の面白さって「ユーモア」に分類されるのかな?
(いや、馬鹿にするわけではなくね。(笑))
関西人の方、どうでしょう?
同様に、お笑い芸人の面白さってユーモアなのかな?
感情は喜怒哀楽に限らずいずれもエネルギーを消費するもの(仏教)
一方でインプットにもあったけど、ユーモアは「心的エネルギーの節約」に基づくものだという説も。
あえてうがった見方をするなら、お笑いは相手のエネルギー消費をいとわず楽しませようとするもの、皆でエネルギーを使って笑うことを楽しむこと。一方でユーモアは、相手のエネルギーを保存させるという点まで込みで、相手を楽しませようとするものなのかも。
ファシリテーターの意見
「ユーモアがある」
と言われる人はなぜ面白いのだろう?
またその人の何が他者を笑顔にするのだろうか?
〇ユーモアがある人ってどんな人?(私見)
・固定概念に縛られない
・観察力がある
・(表現の?)引き出しが豊富
〇「ユーモア」は何が出てくるか?
・周囲を楽しませたいという気持ち
・こうしたら面白いのではないか、という好奇心
(と、チャレンジ精神)
・遊び心
〇「ユーモアがあるなぁ」と感じた作品・もの
・オリンピックの演出
ー阿部マリオ(リオ五輪の閉会式)
〇そもそもユーモアがあるってどんな状態?(私見)
・真面目一辺倒ではない
・おちゃらけ一辺倒でもない
・真面目さの中に可笑しさがある
※なぜなら「上品なおかしみ」だから
〇「上品な」おかしみって何だろう?
・相手が、周りが幸せになるもの
そう考えると、アッと驚く方法で周りに幸せを与えるのが「ユーモア?」
今回は、いつものごとく色々な視点や意見を出していただきましたが、1つ「こういうことなんじゃないかな~」と思う結論が見えてきたのが印象的でした。しかし会が終わって振り返ってみると、「いやいや、いくらでも反論思いつくし、他にもいろんな視点がありそうだな~」と思います。まあ、当然ですね。(笑)
事前準備で色々調べる中で、
ユーモアについては、アリストテレスの時代から多くの人が考察してきたが、立場や視点によっていくらでも解釈は変わってくるし、何か1つ定義すると必ずそこに当てはまらない例外が出てしまう、難しい研究対象なのだ。
という内容を目にしました。実際に自分たちで考えてみて「確かにそうだな~」と、実感できます。今後「ユーモアがあるなぁ」と思う人がいたら、今回考えたこと、感じたことを思い出しながら注目してしまうかもと思います。
ご参加くださった皆様、ありがとうございました!
またやりましょう。
次回は
11月4日(金)19:30~21:00
第179回「歴史のウソ・ホント」を予定しています。
引き続き、楽しくて学びになる探究を実施してまいりますので、お楽しみに!